ユノさんの着替えを済ませてから
僕たちは予定していた映画館に向かった
人気がほとんどない小さな古い映画館
僕達は中に入る
「人が全くいませんね…」
「わりと前に上映されたやつだからね。
ここしかやってなかったんだ
案外ゆっくり見れて丁度いいかもな
チャンミン、コーラでいい?」
「あ、はい
すいません!」
閑散とした館内
僕たちは中央の後方よりの席に座った
もうすぐ上映が始まろうとしているのに
周りはほとんど空席
ユノさんは席に着くなり
売店で買ったポップコーンを頬張りながら
コカコーラをがぶ飲みする
「一緒に食べよう
おっきいの買ってきたから」
「はい
いただきます」
「やっぱ映画はこれが無くちゃなぁ♪
でも後で食事しに行くからここでは少しだけね」
「食事ですか?
あ、でも昨夜も外食だったし毎日こんなだとお金もかかっちゃうし
健康的にも栄養が偏るっていうか....」
「チャンミンは時々年寄りみたいな事言うなぁ
昨夜と今日は特別だからいいんだよ
こんな時間めったにないしね。」
「でもあんまり遅いとチャンドラ可哀想ですよ」
「うん
今日はそんなに遅くならないから大丈夫。
それにしてもガラガラだな
貸し切りみたいアハハッ」
外の寒さとは対照的に館内は足元以外はとても温かい
僕は着ていたコートを脱いで膝にかける
僕を見てにこにこ笑うユノさん
「チャンミン
似合うよ♪」
「あ、ユノさん
このセーターお借りしました///
すいません
なんか…僕お言葉に甘えすぎてしまって…
靴下も…借りちゃいました」
「こういうピンクの淡い色ってさ
俺普段全く着ないからチャンミンにあげるよ」
「いえ、そんなの悪いですよぉ
ちゃんと洗濯してお返ししますから」
「気に入らない?」
「いえ、凄く可愛いと思うけど・・」
「じゃ、また着てよ
本当にピンク似合ってるからさ」
「ありがとうございます///」
普段自分が着ないという淡いピンクのニットのセーター
ファンシーケースの手前に置いてあったのは
実は僕にこれを着てほしかったのかな......
しばらくすると照明がおちて上映が始まる
ファンタジーな冒険の物語にユノさんはすぐに夢中になった
ポップコーンを手に握り口元に持っていき
そのまま固まって食べるのも忘れ今にも下に落としてしまいそうだ
ストーリーがやがてピークに達すると
「ナイス!」「よし!」「やったー!」とか
ちょくちょく奇声を上げては
貸し切り状態の映画観覧を思う存分楽しんでいる
その姿はなんだかちょっと可愛く思えて時折僕はクスリと笑った
あはは・・・
ユノさんは本当に純粋な人なんだな・・・
映画の作品の内容は一口に言うと
夢を忘れつつある人間、空虚な人間は悪の手に陥りやすい
そんなメッセージをファンタジックな手法で
個性的なキャラクターと壮大な風景
特徴のある音楽で構成されている
実は僕はこの作品の内容は
以前本で読んだ事があって少しだけ記憶にあったのだけど
実際こうして映画館で見てみるのと
自分が思い描いていたのとではかなりのギャップがあった
しかしCGもないであろうこの時代にしては
本当に良く出来ている映像で
この世代の大人も子供も十分楽しめる作品だったのだろう
それにしても
スクリーンに集中するユノさんのキラキラと輝いた瞳
楽しい場面では思いきり笑い
悲しい場面では涙を溜めて鼻を啜る
僕は途中から映画よりも
あまりに無邪気なユノさんの横顔に釘付けになった
そして今の瞬間を
僕の隣にいる少年の様なユノさんのこの表情を
きっと一生忘れる事が無いだろうと心に思った
2時間足らずの上映が終了して
僕たちは映画館をあとにして街を歩く
ユノさんはすっかり
ネバーエンディングストーリーの世界に浸っている様で
空を見上げては「ファルコンだ!」とか
冗談交じりのオーバーリアクションをして僕を笑わせた
「ほんとに面白かった~~」
「はい!
見にこれて良かったです」
「俺もファルコンに乗りたいなぁ」
「ユノさんはファルコンに乗ってどこに行きたいんですか?」
「チャンミンと一緒に未来にいってみたい」
・・・・・え
「俺とじゃ嫌?」
........なんて......答えたらいいんだろ.....
ユノさん.....
僕は....未来では貴方と....
貴方と同一人物であるはずのユノと一緒にいるんです...
「チャンミン?」
「あ、すいません
あの、ユノさんの思い描いてる未来ってどんなですか?」
「う~~んそうだなぁ
今から25~6年後くらいにはもしかしたら車が空飛ぶかもしれないよな?
空中に高速道路が出来たりしてさ」
「・・・それはないんじゃないですか?
30年後にも車は空を飛びませんよぉ」
「そう?
じゃ宇宙人と交信できたり
人間が日常的に星とか月とかに行き来ができたりとかさ」
「・・・日常には行けないんじゃないですか?
宇宙人と交信もないですよ」
「そうかなぁ
まず20年も経てば相当色んな事が進化すると思うんだけどなぁ
21世紀だぜ!考えただけでワクワクするよ」
「確かに....
今と比べると進化したものも沢山ありますけど」
「え?」
「あ、いえ、多分、そうじゃないかなって」
「今日みたいにさ
待ち合わせ外出先でも連絡がとれるように
将来ひとりひとりが携帯電話とか持てるようになったらいいよなぁ
ショルダーホンみたいなばかでかいやつじゃなくてさ
もっとコンパクトなポケット入れられるくらいのとか。
そしたら遅れても走らなくて済むしアハハ」
・・・・なれるよユノさん
携帯電話はどんどん進化するんだ
ネット環境も充実して
情報も映像もすぐ手に入る世の中がいずれ来るんだよ
「……まぁ一番思い描いてるのはやっぱり
未来の自分がこの日本でステージに立ってるって事かな
その時…
俺の隣にはチャンミンがいたりしてさ……
なんて…ねアハーハーハ」
「.....ユノさん」
「というか、俺その時は50歳近いなアハッ
本当は今の年齢で未来に行けたら最高なんだけどなぁ」
「ユノさん...
タイムスリップって現実にあると思いますか?」
「う~ん…
タイムスリップは今の世の中ではちょっと考えにくいけど
生まれ変わりとかはあるんじゃないかな」
「生まれ変わり?」
「例えばさ
俺がこの世から消えたとして
その後にまた俺は俺として生まれ変わるんだ
そして未来でまた生きて夢を叶えるとか」
「ユノさん!!
そんな事言わないでください!
消えるとか...そんな....
......言わないでそんな事.....」
「例えばだって!
俺はまだまだやらなきゃいけない事が山程あるからな
そんな簡単にはくたばらないよアハハ」
・・・・
ユノさんの言葉が胸を刺す
それは実際に僕も微かに想像した事だった
それは考えたくないような・・・
とても辛い想像だけど
ここにいるユノさんの生まれ変わりが
あるいは未来のユノかもしれないという事
でもそうなると
ユノの誕生日を逆算すると・・・
今僕の目の前にいるユノさんの時間は
わずかしか残されていない訳で・・・
もし仮にそれが現実になってしまった時
どう受け止めたらいいのか・・・
どうにも僕の気持ちは複雑で押し潰されそうになった
「チャンミン?
そんな顔して・・・
俺の事心配してくれてるのか?
大丈夫だよ俺はいなくならないから」
「あ、いえ
すいません......
生まれ変わりは僕も信じます」
「そっか・・・
そうだな・・・・
人生は一度しかないけど
そんな風に永遠があると思えたらある意味幸せだしね」
そう言うとユノさんは立ち止まり
僕の顔をじっと見たかと思うと側に近づく
「な/////なんですか?」
「それ....」
シャツの中に隠してきたはずのユノさんから貰ったネックレス
いつの間にかシャツの上に垂れ下がり
歩くたびにユラユラと揺れていた
ユノさんはそれを見て
嬉しそうな満足げな顔をして微笑むと
「・・・してくれてたんだ
ありがとうチャンミン」
僕は少し頬をピンクに染めて
照れながらゆっくりコクリと頷いた
愛のポチポチいつもありがとうございます!
更新の励みになってます感謝感激




最後まで読んでくれてありがとうごじゃいます(´;ω;`)
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小説、更新ありがとうございますっ。
小説のユノさんのはかなさ。。。(涙)
でも、小説のユノさんの
「日本で成功したい」
という想いが///
リアルなユノヒョンへと続くのかしら。
ユノヒョンが以前、
「日本は外国ではなく・・・」
そうそう「帰る場所」なんですよね。
リアルなユノヒョンの日本への強い想いは小説のユノさんの想いから・・・
なんて、考えていたら、YUNAさん、小説の構成、上手すぎです!!!!
たしかに、他の韓国グループが日本ではイマイチな中、東方神起の二人は日本のお茶の間に浸透し、日本のトップアーティストですもんね。
*過去のユノさんの強い想いなのかしら・・・
昨日は、パソコン占いしてみました。
すると、
「人生の大きな転機のきっかけは恋愛」
とありました。
いや〜この年齢でもう恋愛はね〜って思いながら読み進めてみたのです。
「特定の人を指すのではなく、ある活動をしているグループにハマり、好きで好きでたまらないとなるのがきっかけ。2ケ月以内に起こります」
ええっ。
これはユノチャミのことやファンのみなさんとの活動ですよね。
しかも、ちょうど1ヶ月後に名古屋ドームに行ってますから・・・
キャー。
ファンとしては、ありがたい話。
今回のライブツアー、人生の転機のきっかけになりそうですね。^^