ボトルのワインは半分以上減って
僕達はほろ酔い気味にソファーに足を投げ出し
互いに凭れ掛かって会話をする
「それにしてもこのワイン
時間が経てば経つほど美味しくなりますね」
「うん。
さっきよりコクが出てきたっていうか
葡萄が開いた感じかな」
「あー
果実味は確かにアロマが豊かになりましたね。
12年熟成くらいだと渋味はそれほどでもないんですね」
グラスをクルクルと回しながら口元に近づけて
広がったその香りを鼻でスーっと吸い込む
酸味の落ち着いたテイストは
まろやかさが加わり
より深くクオリティの高い味わいに変化した
「なぁ、チャンミナ
男は30代からだと思わない?」
「ですよね。
20代まではまだまだ基礎作りの段階だと思います。」
「そうだな
今までも勿論
ひとつ足りとも無駄なことは何もなかったけど
これからがより重要っていうか
30代だからこそ魅せられることってあるよな」
「はい
30代は今まで経験して積み上げてきた基礎を土台にして
全部じゃなくてもある程度は
自分なりにコントロールもしながら
今まで以上の目標や仕事の幅も広がるんじゃないかなって。
それに、更に安定してくるのは40代からなんだと思うんです。
その頃、世の中がどんな風に変化してるのか分からないけど
平和でさえあってくれたら
僕達の仕事は形が少しずつ変わっていったとしても
ファンでいてくれる人達にずっと夢を与えることが出来ると
僕は信じてます。」
僕が熱く語り出すと
ユノは黙って何度もうんうんと頷いた
昔から酒を飲むと
仕事の事やそれに関する将来の夢だったり
熱く語り出すのはユノの方で
僕はだいたい聞き役が多かった
でも今日のユノの言葉は少ない
少ないけど
いつも以上に幸せそうで
僕の語りを聞いては本当に嬉しそうにして
穏やかに微笑んでは僕の目からずっと視線を離さなかった
「あ、、
なんか僕ばっかりしゃべっちゃって、、」
「チャンミナは変わったよな」
「え?
僕?変わりました?」
「うん、
逞しくなった。
本当にかっこいい男になったと思う
頼れる男、真の強さを持った男
隣にいて惚れ惚れするよ」
「そんな///
言い過ぎですよ」
「いや、
まだまだ言い足りないぐらいだ」
ユノは体制を変えると少し改まったように
「俺…
お前がいたからここまで来れた。
本当に…本当に色んなことがあったけど
どんな時も隣で黙っていてくれて…
お前の存在が本当にいつも心強かった…… 」
「……ヒョン
それは僕も同じですよ
ヒョンがいたから頑張ってこれたし
今までもこれからもヒョンが隣にいると思うから心強いし
感謝の言葉は口では言い切れません」
「ありがとうチャンミナ」
「僕こそ
いつもそばにいてくれてありがとうヒョン」
僕達はそれ以上は言葉にはしなかった
しばらく見詰め合って心を充分確認し合うと
深くソファーに沈みながら二人で手を固く握り合い
互いに身体を寄せてはまた凭れ掛かった
「そういえば・・
プルメリアの香りなくなっちゃいましたね
アロマキャンドル消えちゃったのかな」
「あ、そろそろ消えちゃった頃かも…
新しいのに変えるか。
しかし焦げの臭いもすっかり消えたなアハハ」
「ですね。
新しいのに変えましょ♪」
ユノはソファーから重たそうに立ち上がると
のそのそとリュックのポケットの中からライターを取り出して
鉢植えの後ろにあるアロマキャンドルに火をつけた
「あの、、
もう一度聞いていいですか?
何故、わざわざ花のない幹だけの鉢植えに?」
「これね
開花までは約3年かかるんだって。」
「・・あ、なんかそれ聞いたことあります。
プルメリアは約3年で80%程度の確率で開花するらしいですよね。」
「うん
3年後にここに花が咲くのをチャンミナと一緒に見たいなと思ってさ」
「・・・3年後」
「開花しない場合もあるみたいなんだけどね」
それはまるで
未来の僕達の活動を指している様だった
「咲きますよ
必ず3年後には」
僕がそうきっぱり答えると
ユノはにっこり微笑んで大きくコクンと頷いた
花言葉は
親愛、陽だまり
僕達は花のない鉢植えをテーブルの真ん中に置いて
もう一度乾杯をした
愛のポチポチいつもありがとうございます

更新の励みになっています



今日もご訪問ありがとうございます(*^_^*)
リアルなユノとチャンミンは
二人で過ごす時間があった様ですね
本当に良かった(;つД`)
- 関連記事
-
スポンサーサイト
3連休。お仕事半分していますっっ。
YUNAさんもバリでお仕事ですね。
その合間の投稿、ありがとうございます。
リアルにお二人で過ごす時間があったのですね。
なんだかほっとしました。^^
それから、さすがYUNAさん、ワインの知識とプルメリアの知識が
あっての小説。
すばらしいです。
今日は、二人のアルバムの発売日でしたっけ。
最後まで、私たちを気遣ってくれているお二人にも感謝。
日本は、夏らしい天気。
体に気をつけて猛暑を乗り切らなければならないですね。