「・・・ ヒョン
なんか焦げ臭い・・・」
「ん?」
二人で顔を見合わせて同時に首を横に向けると
キッチンから僅かに立ち上る黒い煙に気がつく
「あ"ーーーーー」 どうやら鍋に水を入れて火にかけたまま
放置してしまったらしく
僕達がじゃれあっている間にそれは煮えたぎって
中の水分は全て蒸発してしまっていた
キッチンに駆け寄って
慌てて鍋の中にコップの水を放り込むユノ
しかし、煙は蒸気となり一瞬更に舞い上がると
部屋中に焦げ臭さが一気に立ち込める
「ヒョン、蓋、蓋して!」
「あ、そっか!」
換気扇のレベルを上げ窓を全開にして
部屋の空気の入れ替えをする
しばらくすると焦げの臭いはおさまって
大騒ぎだったキッチンもようやく静かになった
「やっちゃった・・・
チャンミナ鍋焦がしちゃってごめん
これもう、使えないよな」
「大丈夫ですよ
まだ他にもあるから、
それより、僕こそ本当にごめんなさい・・」
「なんでチャンミナが謝るんだよ
俺の不注意だもんな
付けっぱなし全く忘れてたし」
「僕がカメラで撮ったりしたから…
僕のせいですよ。。」
「だーかーら
チャンミナのせいじゃないって!」
「・・ていうか、料理中だった事
いつの間にかすっかり忘れちゃってましたよね・・」
「だな・・・」
「・・・何してるんでしょうね僕達」
「イケメンのカメラマンが誘導するの上手いんだもん
つい、のせられちゃったアハッ」
「いえ、
イケメンのモデルがカメラマンを誘導するのが上手いんです
つい、のせられちゃいました」
・・・プッ
アッハッハーハーハー!!!互いに顔を見合わせては吹き出してしまい
特に理由もないけれど妙に可笑しくて
僕達は腹を抱えて大声で笑った
「あーー、、
久しぶりにこんなに笑ったな~」
「僕もです~~
腹筋が痛いや。。筋トレになったかもアハハ
いっぱい笑ったらお腹すいちゃった」
「よしよし
じゃ、そろそろ続きやるか
あ、チャンミナ他の鍋ってある?」
「あるけど、何作ろうとしてるの?
まだ秘密?」
「ボンゴレパスタ」
ボンゴレ……
そうか・・
だからあさりが砂抜きされてたんだ・・
「はい、じゃこれ使ってください」
棚の奥の方から
未使用の底の深い寸胴鍋を取り出してユノに差し出す
「サンキュー♪
待ってて。
世界一美味しいボンゴレパスタ食べさせてあげるから」
そう言うとユノはエプロンの紐をキュッと強く結び直して
再びキッチンに仁王立ちになると
真剣な眼差しで料理の続きを再開した
「あ、チャンミナ
この焦げた鍋、どうする?捨てるか?」
「いえ、とっておきます」
僕は思った
この焦げた鍋底を見るたびに
ユノと二人で大笑いした今日のことを
きっとこの先
何度も懐かしく思い出すのだろうと
愛のポチポチいつもありがとうございます

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