「チャンミナ・・・」
「はい?」
インターホンが鳴り
いつもの様に玄関口までユノを出迎える僕
ユノは僕の顔をじっと見ると
手を伸ばして頬を指でそっと撫でる
「涙......
涙の跡が.......」
「・・・あ」
「.....泣いたの?
どうしたチャンミナ?」
「いえ、大丈夫です!
顔洗ったからちょっと濡れちゃって.....
ほんとに.....ほんとに何でもないよ」
「俺帰ってくるの遅かったか?
猛ダッシュで帰ってきたんだけど....
怖い夢見た後だからな.....
寂しかったか?ごめんな」
「ほんとに顔洗っただけだから
で・・・忘れ物って何だったんですか?」
「あぁこれこれ
今晩チャンミナと一緒に見ようと思ってさ」
「・・・え」
ユノが僕の目の前に差し出したのは
ネバーエンディングストーリーのDVD
あの日ユノさんと観た映画だった
言葉が出てこなくて
息が詰まったように僕が黙っていると
「見た事ないだろ?
この前何となく興味沸いて買ったんだけどね
1984年にドイツやアメリカで公開されて
日本でも1985年に公開されたんだけど
俺たちが生まれる前だからかなり古い映画だな」
「・・・そうなんですね
僕、これストーリーは昔ちょっと本で読んだ事があって・・」
「そう?
チャンミナはやっぱ物知りだなぁ
そういえば原作は本が先みたいだよなぁ」
「あの....
なんでこれ買おうと思ったんですか?」
「ん?何でだろ?
何となく・・・・かな?
クリスマスにチャンミナと一緒に見たいって思ってさ
それまで内緒にしようと思って
店にずっと置きっぱなしだったから忘れてたアハーハー」
とても不思議な思いがした
僕の中であの時の風景がまた蘇る
スクリーン越しに輝くキラキラした瞳
僕の隣で無邪気に少年の様に笑っていた横顔
今、目の前にいるユノの笑顔を見ては
あの時のユノさんの姿が重なった
「チャンミナ?
見たくない?他のにする?」
「いえ、見たい!見たいです!
是非是非!」
「だろ?
チャンミナも見たがるんじゃないかなってね
ビビッと来ちゃった
俺ってやっぱすげ~な!アハッ
じゃ見る前にまずは…
腹ごしらえでもするか」
「あ、じゃ僕なんかつくります」
「そうそう昨夜の料理
帰ってきてから俺ほとんど食べちゃったけど
全部チャンミナ作ってくれたの?」
「あ・・食べてくれたんだ・・」
テーブルの上は
クリスマスイブに僕がセッティングしたままになっている
用意したほとんどの料理は食べてしまった様で
ランチョンマットの上には洗った食器が重ねてあった
「起こしちゃ悪いと思ってさ
少しだけ食べようと思ったんだけどあんまり美味しいから
気づいたらほとんど食べちゃった」
「ユノに食べてもらうために作ったんですから
沢山食べてくれて嬉しいですよ。
じゃ、また何かつくりますから待ってて」
「今日は俺がつくるよ」
「え?」
「たまにはね
実はさっき買い物してきたんだエヘヘ」
スーパーのレジ袋をひっくり返して
買ってきた食材をテーブルに勢いよくぶちまける
と同時に玉子が割れる
「・・・・あの・・
大丈夫ですか?
僕やろうか・・?」
「大丈夫大丈夫!
これも後から使うから
割れる手間が省けたなぁ~なんちゃって
出来上がるまでチャンミナは寛いでて!」
舌をペロッと出して
鼻歌交じりに割れた玉子を手掴みでお椀にとるユノ
僕は言われたとおりにソファーで寛ごうとするが
たびたびガチャンと大きな音がして
聞こえないふりをしようとするけど気が気で仕方がない
・・・・焦げ臭い
「ユノ!何か焦げ臭いですよ!
換気扇回ってる?」
「え?
あれ?なんで?」
あまりの焦げ臭さに僕が見に行くと
「あ、これか!
水水!!!」
いきなりフライパンの中に水をドボドボと入れるユノ
真っ黒なフライパンはもはや何を作っているのか予想がつかない
「よし!無事だ!
もう焦げ臭くないよね?」
「・・・・あの・・・
これ何つくってたんですか?」
「ひき肉の炒め物」
「・・・・ひき肉・・・」
「うん
味付けはとりあえず炒めてから考えようと思ってさ」
・・・・・・・
僕は思わず背中からユノを抱き締める
「どうした?チャンミナ?」
「ううん・・・
火傷しなかった?大丈夫?」
「火傷したかも」
「え?どこ?大丈夫?」
ユノはくるりと振り返って僕に顔を近づけて
自分の唇に人差し指を押し当てると
「ここ・・・
痛いから手当てして」
「え////////」
いたずらっぽい目で僕の顔をじっと見ると
にこっと微笑んでおでこに軽くチュッとする
「なんてね
アハハ」
「もう/////
ほんとに心配しちゃったじゃないですか!」
「ごめんごめんチャンミナ
俺ってやっぱりせっかちかな?」
「そんな事ないですよ・・・
ユノはいつも一生懸命で・・・
僕はそれでいいと思います」
「そう?
でもこれ・・・失敗だな
食べられるレベルじゃないよなアハハ・・」
「やっぱり僕が作りますよ
僕......
今日はユノに食べてほしい物があるんです」
「ん?何?何作ってくれるの?
新しい料理覚えたとか?
チャンミナの料理なら俺は何でも食べたいよ」
「カルボナーラうどんです」
ユノさんとの最後のあの日
帰ったら作ると約束したけど結局は作ってあげられなかった
ユノさんがまた食べたいと言っていたカルボナーラうどん
僕は心を込めてユノに作った
愛のポチポチいつもありがとうございます!
更新の励みになってます感謝感激




今日も最後まで読んでくれてありがとうごじゃいます(´;ω;`)
二人は一旦帰国しましたね~
ユノは刈り上げてたっぽいですよね!
カムバの時もそうだったけど
相当な気合いが入ってるって事かな(о´∀`о)
そしてドキドキインド
チャンミンは空港にお見送りだったみたいですね(^-^)
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