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2015/01/26 Mon  23:02
トキを超えて 24話「危機一髪」




リリリーーンリリリーーン



部屋の中から電話の音が鳴り響く





「ユノさん・・電話が・・」




「いいよ
留守電にしてあるから
じゃ・・・」




玄関のドアをユノさんが閉めようとしたその瞬間
留守電にメッセージが入る




(おいユノ!いないのか?
ユノ!俺だ!緊急だぞ!)



メッセージから流れてくる音声は
ユノさんの友達のさっきのマスターの声だった





「ユノさん!
マスターさんからの電話ですよ!
緊急って」


引き続き留守電からはメッセージが流れ出す




(お前、ホスト時代の先輩覚えてるか!
あの時の盗難事件、自分がやったって
さっき社長のとこに言いに来たみたいだぞ)




「・・なに・・」



ユノさんは慌てて玄関口から靴のまま
部屋に入り電話をとる




「俺だ!ユノだ!
それ本当か?」




「お!ユノいたか!
あぁ間違いない
今も社長と連んでる奴からの情報だ
やったのはユノじゃなくて自分だって
金は返せないから煮るなり焼くなり好きな様にしてくれって
今さっき数人に囲まれて連れていかれたらしい」



「どこに?どこに連れていかれたんだ!」




「おそらく....
社長が所有してる例のビルじゃないか?
あれからまだ無人だって言ってたしな...
あ、おい!ユノ行くんじゃないぞ!
俺が匿名で警察に連絡するからお前はそこにいろ
おい!ユノ聞いてるのか?ユノ!」




ユノさんは電話の受話器を放り投げると
そのまま玄関の外に飛び出そうとする






「ユノさん!行っちゃだめだ
ユノさんはそこに行っちゃだめだよ!
お願いだから行かないで・・・・」



僕はユノさんの前に両手を広げて立ちはだかる






「チャンミン・・・
俺・・先輩見捨てる訳にはいかないよ
ごめん」




「ユノさん!!」




止める僕を振り払い
走って行ってしまうユノさん


僕は自分のコートを一枚手に持ち
必死でユノさんの後を追いかけた



路上に出るとユノさんはタクシーを捕まえて乗り込む
僕もその後から来たタクシーを止めてユノさんの後を追う



あの時ユノさんにお金を渡されていて本当に良かったと
今更ながらこんなとこで感謝をする




絶対にユノさんを行かせてはだめだ

僕の予感がもし正しければ
その社長のビルでユノさんは
生死に関わる危険な目に合うのかもしれない




お願いだから・・・
お願いだからこの予感が外れてほしいと
僕は必死に願った






ユノさんはタクシーを降りると
あるビルの中に入る

僕も後をすぐに追いかけてビルに入ろうとすると
それに気づいたユノさんは





「おい!お前!何で着いてきたんだ!
ここはお前が来るとこじゃない戻れ」




「やだ!やだよ僕は帰らない!
ユノさん一人で行かせない」




「頼むから・・・帰ってくれチャンミン
大丈夫だから
俺ちゃんと戻ってくるから」




「やだ・・・・
行かないで・・
やだ・・・やだ・・・・・」




涙ながらに引き止める僕を
どうにも出来なくなったユノさんは
とても悲しい顔をして僕の腹に一発のパンチを入れる





・・・・うっ・・




下っ腹にドスンとした衝撃が走る
目の前がぼやけて泣き顔のユノさんが翳んでいく......

そのうちに立っていられなくなり
僕はその場で気を失った






「ごめん・・チャンミン・・
お前を巻き添えにする訳には行かないよ・・・」



気を失った僕を少し離れた場所に寝かせると
ユノさんは一人でビルの中に入っていく






数分後
僕は目が覚める



「・・・・・・はっ・・・
ユノ・・・・さん」




クラクラする頭を左右に振って両手で叩きながら
僕はやっとの思いで立ち上がりビルに向かって走り出す




無人の冷たいビルの中はシーンとしていて
人がいる気配は全くない



「・・・どこにいるの・・ユノさん」



非常階段を上っていくと
前方のほうから微かに男の怒鳴り声が響く




「屋上だ・・・」



僕は猛ダッシュでビルの屋上目指して
階段を駆け上がっていった




「はぁはぁ.....ユノさん
間に合って....頼むから無事でいて...」




そしてようやく12階建てのビルの屋上に辿り着いた僕は
重い鉄のドアを少しだけ開けて外の様子を伺う

するとそこには身体の大きな男が3人倒れていた





・・・ユノさんは・・・ユノさんはどこだ




ドアを開けて屋上に出て周りを見回すと
ビルの角の端の方で大怪我をしている先輩らしき人を抱えて
自分も傷だらけになり蹲っているユノさんを見つける



「ユノさん!」




急いでユノさんのところに駆け寄ると
ユノさんは僕の顔を見て



「チャンミン・・・
来るなって言っただろ・・・
お前はまったく・・・」



「ユノさん!怪我してるよ!
大丈夫!大丈夫なの!?」




「・・・うん
俺は大丈夫だけど先輩が・・・」




ユノさんの腕の中には小柄な男性が
今にも息絶えそうな様子で倒れ込んでいた





数年前ユノさんに責任を負わせて
その場から消えたという先輩ホスト

僕が想像していた印象とはかなり違っていて
その姿はなんだかとても哀れに思えた


今になり姿を現し
店の大金を盗んだのは自分だと告げに来た
男たちの暴行を避けることなく受け
ユノさんが助けに入らなければ殺されていたのかもしれない





「ユノ......」




「先輩!
大丈夫?しっかりして!」




「ユノ....悪かったな.....おれ.....
ほんとにお前に.....なんてことを....」




「もういいから・・・
いいんだよ・・・もう・・
なんで・・なんで今頃出できたんだよ・・・
俺は何とかなったのに・・・」





「........ユノ
辛い思いさせてほんとうに.....ごめん.......
ゴホッゴホッ」





「先輩もうしゃべらなくていいから・・・
今、病院連れて行くからね」





ユノさんが先輩を背負って立ち上がろうとしたその時
倒れていたうちの一人の男がのっそりと起き上がってくる




僕はギョッとした


男はポケットからナイフらしき物を取り出して
ゆっくりとユノさんの背後から忍び寄った





「ユノさん!!!」



背後の男に気づいたユノさんは先輩を下に降ろすと
更に屋上の先端の方へ移動してその男を自分の方へ誘き寄せる




「チャンミン先輩を頼む」



そう言いながらユノさんは
じわじわと迫ってくる男を屋上の先端まで誘い込むと
足を止めて強く睨み付け
目にも止まらないような速さの回し蹴りで男の胸を蹴り飛ばす


男が倒れたその瞬間
マスターの知らせを受けた警察がやってきた


大怪我をしている先輩を警察の人にお願いをして
僕はすぐにユノさんの側に駆け寄ると


一気に気が抜けたのか
ユノさんは屋上の先端でフラフラとしていて
今にもビルから落下しそうになっている



「ユノさん!」



と、その瞬間
屋上全体にザザーーーと強風が吹き荒れて
ユノさんの身体はふわっと浮かび空中に吸い取られそうになる

僕は必死にユノさんの手を掴み自分の方に強く引っ張ると
反り返っていたユノさんの身体は前に倒れ込み
コンクリートの先端にぎりぎり膝が付き
危機一髪のところで何とか無事に留まった





・・・・危なかった



・・・・あと少し遅かったら・・・・





僕は傷だらけのユノさんの身体を抱きしめた



「ユノさん!ユノさん・・・
ユノさん・・ユノさん・・うっ・・うう・・」



何度名前を呼んだか分からない
泣きじゃくりながら必死に抱きつく僕にユノさんは






「いたたた・・・」




「あ、ごめんなさい!
傷早く手当てしないと!」






「チャンミン・・・」



「はい・・」







「シャツの袖は……
もう破かなくていいからね」




「・・・・え?」






「昨日.....会ったばかりの時....
台所で怪我してた俺の手を手当てしてくれたろ?」



「・・・・・あ」





「俺.....あの時.....ちょっとびっくりしたけど
凄く嬉しかった」



「......小さな怪我でも....
化膿したら大変な事になりますから.......」






「あの時もそんな風に言ってたねアハハ」





・・・・・ユノさんが笑った







「ユノさんは記憶がいいんですね」



「まぁね。
大事な事は俺は絶対に忘れないんだ」






僕たちは手を取り合い
互いに顔を見合わせてにっこりと微笑んだ





ユノさんは事情聴取のため警察に後日出頭との事だったが
先輩の証言があれば例の事件も無関係という事になるだろう

警察が全て退散して先輩が病院に送られたのを確認すると
ユノさんは安心した様に肩を撫で下ろした






「…終わったんだな……」




「ユノさん......帰りましょうか」





「うん…
なんだかお腹すいちゃった
チャンミンのカルボナーラうどんがまた食べたいな…」



「帰ったらつくりますよ」




「こんな夜中に?」




「ユノさんが食べたいならいつでもつくります」







全てが終わり
ユノさんと僕は屋上から出ようと
ゆっくりと重い鉄のドアを開ける


そしてドアを出ようとしたまさにその瞬間
ふと背後で何か白い気配を感じた僕は
足を止めて振り返った













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チャンミンのピュアな魅力にどっぷりハマってます♥
ユノが大好きです敬愛しています^^
2人の温かい空気感が大好き
東方神起には夢と希望と幸せを貰っています
他には赤ワインが大好物!!
趣味は?と聞かれると
東方神起と赤ワインと答えてしまいます。どうぞよろしくお願いします(*_ _)ペコリ
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