「さっきの話....」
スカウトまで受けてオーディションを勧められ
日本に出てきてから10年以上が経過
どうしてこんなに時が過ぎてしまっているのか
ユノさんはその経緯をゆっくりと語り出した。
「こっちに出て来て右も左も分からなくて
今考えると本当に子供だったと思う。
韓国人ってだけで仕事はすぐに切られるし
少しの貯金はあったけど
学費も途中から払えなくなって家賃も滞納しちゃってね
途方に暮れてた時、街でスカウトされて....」
「また芸能事務所ですか??」
「いや、
今度はホストクラブ」
「え??」
「…正直物凄く迷ったけどお金は必要だったし
住むところもその日から与えてくれるって条件で短期契約したんだ。
結局マンション代とスーツ代は
給料から引かれて決して楽じゃなかったけど
贅沢したい訳じゃなかったし
レッスンを受けられる環境があるならありがたいと思ってね。
お客さんとの対話は日本語の勉強にもなったから」
ユノさんはその時18歳だったそうだ
年齢を偽りその日からすぐに店でホストとして働き
昼間はダンスレッスンとボイスレッスンのスクールへ通いながら
帰宅してからも日本語を独学で学び
寝る間を惜しんで毎日を過ごしたそうで
「それでオーディションは…?」
「うん
一回目のオーディションに合格した」
「そうなんですか!?
じゃ、何故....」
「二次面接行かなかったから」
「どうして??
そのまま行けばデビュー出来たんじゃ?」
「かもな。」
無表情に淡々とユノさんは受け答えをする
「あの...僕には意味が分からなくて....
今もオーディションを受けようと思ってるんですよね.....
ユノさん..その...
年齢的にはそろそろ兵役で帰国しなければならないんじゃ....」
「そうだな
帰らなきゃな…
無事に生きてたらね」
「え?」
「俺、ある組織から指名手配中だから」
話の途中でデザートが運ばれてくる
ボトルのワインは半分以上が減り
さっきまで混雑していた賑やかだった店内も
空席が出来て静まり返っていた
「チャンミンどうした?
大きな目が余計に大きくなってるぞ
焼きたてクレープ嫌い?
ここのは最高に美味しいんだよ」
「あ、いえ
その....指名手配って....」
「ああ....
驚かせちゃったか?
怖い?俺のこと」
組織からの指名手配なんて
そんな世界からは程遠い人柄のユノさん
何かとても深い訳があるのだと思った
もしやそれがデビュー出来なかった理由とか......
「俺...少し酔ったかな。。。
どうかしてるよな...
今日会ったばかりのチャンミンに
何でこんな話までしてるんだろ...
バカだな俺は.....」
正直迷った
これ以上突っ込んだ話を聞いていいものか
聞いたところで僕が出来る事は何かあるんだろうか...
でも....
やっぱり知っていたいと思った
だって...
ここにいるのはユノだから
「......良かったら
僕で良かったら全部話して貰えませんか?」
「気使わなくていいよ
チャンミンには関係ないことだし
俺の話聞いてても面白くないだろ
知れば知るほどがっかりする男だよ俺は」
ガタッ僕は椅子から立ち上がり
つい大声を張り上げてしまう
「がっかりするとかそんな事ありません!
ユノさんはそんな人じゃない!」
ユノさんは驚いて
何度も目をぱちくりとしては席を立っている僕を見上げた
「関係ないなんて.....
そんなこと言わないで.....
僕はあなたの事が
........ユノさんの事が知りたいんです」
「......ありがとう
チャンミン」
ゆらゆらと揺れる蝋燭の灯が
ガラス越しに反射して
ユノさんの三日月になった瞳が溶ける
その微笑みは灯りと共に
今にも消えてしまいそうで
儚げに滲む横顔を
僕は切ない思いでずっと見詰めた
愛のポチポチいつもありがとうございます!
更新の励みになってます感謝感激




ユノとチャンミン来日ですね♪(*≧∇≦)ヨロレイヒー
本日からまた空気が美味しいぞ~~~~
リリイベ参加の方楽しんできてくださいね!
王様のブランチも楽しみです!
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