「チャンミン・・・・
このままチークダンス踊ろうか」
「え...」
ユノさんの肩に回した僕の手が
少し緩み外れそうになると
今度はユノさんにガッチリと腰から抱き締められる
「いいから....
このままで...チャンミンお願い」
ユノさんの瞳がミラーボールに反射して
きらきらと揺れる
ドクドクと熱い胸の鼓動が伝わってくる
僕の顔のすぐ横にユノさんの顔
間近の吐息は耳を擽って僕の身体を震わせた
あったかい......
この匂い...
あなたはやっぱりユノなんだね
「ユノ....さん」
「チャンミン...
なんだか俺....
ずっとこのままでいたい....」
フロアから離れた目立たない隅で
僕とユノさんは互いの体温を確かめ合う様に
抱き合い
しばらくの間、流れてくるバラードに酔いしれた
「おーい!
お前らいつまでやってんだー
いい男が二人勿体ないぜ
ギャルがいっぱい余ってるんだから
相手してやれよ!」
スタッフの一言で僕らはハッとして我に返る
気が付けば僕達の周りには
大勢の女性の取り巻きが出来ていた
ユノさんは僕の腕を掴むと
その場を足早に去り店の外に出る
「あの..
なんか僕....
恥ずかしい事しちゃったのかもしれないですね...」
「全然そんなことないよ
人目なんか関係ないって」
「でも、ユノさんの職場なのに...」
「職場といえばそうだけど
あそこはたまにゲストで入るくらいだから
もうしばらくは行かないよ」
「そうなんですか?
じゃ、仕事はこれからは?」
「今夜の仕事はまだ終わってないんだ
あ、次はここ少し行ったとこだから」
賑やかな通りから少し人気の無い路地に入り
数件並んだネオンの店の前で立ち止まる
「次はここ」
「ここって.....」
外観の大小の看板には
女性の写真が飾られている
よくよく見てみると
そこはストリップショーのお店
僕にはあまりピンと来なかったけど
ショータイムというのは少し興味が沸いた
入り口のドアを開けようとすると
「ダメダメ
こっちから入らないとお客さんと間違えられちゃうから」
そう言って僕の手を引っ張り
スタッフが出入りする別の裏口から入場する
そこは小さな楽屋の様になっていて
至る所に衣装が散乱
お世辞にも綺麗なところではなかったけど
僕には何となく懐かしいステージを思い出させた
「ここで...
ユノさんは何をするんですか?」
「まぁね
ここから見てて」
ステージの袖には女性の踊り子さんがセクシーな衣装でスタンバイ
客席はよく見えないけど
歓声で100%男なのは分かった
いきなり前触れもなく爆音がしたかと思ったら
流れてきたのはマイケルジャクソンの曲
Rock With You
真っ暗なステージに赤い照明があたる
黒いハットを深々と被りムーンウォークで
ユノさんが登場
ショータイムが始まった
めくるめくユノさんの激しいソロダンスパフォーマンス
バイタリティー溢れる華麗なステップ
型に捕らわれていない自由さ
それでいて繊細なひとつひとつの動き
この時代のユノさんのダンスはフリースタイル
で
元の時代のユノとはまた違うオリジナリティが光った
しかしソロの時間はわずか
すぐにステージの袖から踊り子さんが登場すると
ダンスの形態が変わり女性メインの演出となる
踊り子さんがユノさんにセクシーに迫って
一枚ずつユノさんがその女性の服を脱がせていくという演出らしい
女性の束ねた髪をほどいては
シースルーのブラウスのボタンをひとつひとつ外していく
スカートのジッパーは口で咥えて
焦らしながらおろすという演出に客席は
「とっとと早く脱がせろ!」 と野次を飛ばす
ここのお客の目的はダンスではなくて
女性の裸だ
前座とはいえ最後までショーの演出として
美しくスマートに女性をエスコートするユノさん
それはもはや高級なバフォーマンスにしか映らない
ユノさんの出番が終わって
ステージから退場すると
その後は女性が一人で踊りながら脱ぎ出す
歓声はそこから大きくなった
さっきのDJのユノさんもかっこ良かったけど
やっぱりステージの上のユノさんは最高で
僕はいつまで経っても興奮がおさまらなかった
楽屋に戻ってきたユノさん
僕は思わず走り寄り
ユノさんの手を取り両手で固く握って
息を切らしながらこう言った
「ユノさん!お疲れ様!
凄いよ!!
めちゃくちゃかっこ良かった!
僕、興奮してドキドキが止まらないよ!
ユノさんは、
ユノさんは最高の舞台王!天才だよ!」
[ユノ目線 心の声]
チャンミン?
こんなに息を切らせて
瞳を輝かさせて....
泣いてるのか?
なんでこんなに目が潤むんだ
ドキドキしてるのは俺の方だよ
何故だろう....
今日会ったばかりのこの子に
数時間しか経っていないのに
心がどんどん惹かれていく
懐かしくて温かいこの手の感触
初めて会った気が全くしない....
遠い昔から知っているような
そうかと思えば
今にもふと消えてしまいそうな
その溢れるような笑顔
どうしてそんなに優しい瞳で俺を見るんだチャンミン?
お前いったい何者なんだ…?
なんでこんなに俺の心を揺さぶるんだチャンミン…
愛のポチポチいつもありがとうございます!
更新の励みになってます感謝感激




屈託のないチャンミンの純粋な真っ直ぐさに
心が揺れ始めるユノさん
この時代のユノは少し愛に飢えているところがあるのかもしれません(・o・)
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