数分歩くとロビーに辿り着く
昼を過ぎていたせいか
ホテルのロビーにはほとんど人気がなく静かで
池から流れる水の音が大きく響いた
「オカエリデスカ」
「はいチェックアウトお願いします」
「チョンサンデスネ
コレヲドウゾ」
「はい?」
渡されたのは1枚の写真
ユノはそれを見て
「アハハーハー
よく撮れてますね!これ頂いていいんですか?」
「ドウゾ
オーナーガヨロシクオツタエクダサイトノコトデス」
「ありがとうございます!記念になります
またこちらに来た時はここに寄らせて頂きます」
「ハイ
ゼヒオマチシテイマス」
ユノがフロントのスタッフと話している間
僕は目的地に行くための地図を開いて再確認をする
ここからは近いはずだが
分かりにくい場所であるため
念のためにスタッフにも聞いてみる事にした
僕は地図を指差して
「あの、ここに行く予定なんですけど
どれくらい時間かかりますか?
ここから近いですよね?」
ホテルのスタッフは地図を見ると首を少し傾げて
「ココニ.....イカレルンデスカ?」
「はい
そのためにこのホテルに泊まりました」
しばらく不思議そうな顔で僕を見ると
「ナニモナイトコデスケド......
ソレニ....」
「はい?」
何となく口篭らすスタッフだったが場所を教えてくれた
「ココワ...トオクワナイデスケド
アルイタラカナリアリマス」
詳しく聞いてみると
目的地までは距離は近いらしいのだが
舗装された道ではないため回り道をしていく必要があり
歩いていくのは相当時間がかかるとの事
タクシーは捕まるが途中道が極端に狭まるため
車が通れるのも限界があるらしい
何でもそこからの距離が長いようだ
「レンタルバイクとかはどこかにありますか?」
「イマノジカン、チョットムズカシイカモシレナイデスガ
マッテクダサイ、イマシラベテミマス」
「すいませんお手数かけます」
この国は電車が無いせいか
手っ取り早く移動手段として便利なのがレンタルバイク
ほとんどの宿泊客が借りるため
昼間は出払っていて数には限りがあった
「なぁチャンミナ
もしバイクなかったら歩いて行ってもいいんじゃない?」
「でも遠いみたいですよ
地図ではこんなに近いのに....
僕ちゃんと調べてきたつもりだったんですけど..」
「まぁ地元の人に聞いてよかったじゃん
こういうの実際来てみないと分からないって事いっぱいあるよ」
「オマタセシマシタ
ゲンザイレンタルバイクワ、アキガナイヨウデス」
「あ...やっぱり。。」
「アノ
モシヨロシカッタラ、セペダワイカガデショウ?」
自転車のことだった
「え?あるんですか?」
「レンタルデワナイデスケド
スタッフノガチョウドニダイアリマス」
「いいんですか?」
「ハイ
ヨロシケレバ」
「ありがとうございますっ」
自分たちの通勤として使用している自転車を
貸してくれるという良心的なスタッフに
つくづく感謝の気持ちで一杯になった
僕達はスタッフの言葉に甘えて自転車を借り
目的地に向かう事にした
細い道を通り抜けるには実は一番便利かもしれない手段で
何より2台あるという事が幸いだった
もう一人の若い男性のスタッフが
早速自転車を運んでくる
僕達の前に並べて置くと片手に持ったお香を煙らせ
白いチェンパカの花でタイヤの周りをなぞり
おまじないの様に祈りを捧げる
ここでは物に対しても命があると信じられていて
全ては神が与えてくれたものとする
僕はここに来て数日間
その光景は何度も目にしてきたが
ユノにとっては初めてだったらしく
その行為を不思議そうに興味深く見るユノ
そして小さな声で耳元で
「ねぇチャンミナ
あれって何してんの?」
「僕達に事故が無い様に
自転車に願いを込めて祈ってくれてるんですよ」
「へぇ~そうなんだ.....
奥深いねぇ何だか」
祈りの儀式が終わると
聖水を指で飛ばすように自転車に何度かふりかける
「ハイモウダイジョウブデス
キコクワホンジツノビンデスカ?」
「はい今夜0時過ぎのフライトで韓国に帰ります」
「ソレデワ、ジュウブンニオジカンアリマスネ
アノ、モシヨロシカッタラ
ココニモヨッテミテクダサイ」
一枚の地図を渡された
「ここ?ですか?」
「ハイ、コレカライクトコロノ
スグソバデスノデ
モシオジカンアレバ」
「分かりました
本当に色々とありがとうございます!
自転車は暗くなる前には必ず
こちらに返しに来ます」
「イッテラッシャイマセ」
ユノと僕は深く頭を下げお辞儀をしてホテルを後にする
ふと後ろを振り返ると
出口のところではいつの間にか数人のスタッフ達が整列していて
僕達が見えなくなるまで手を振ってくれていた
「なんかエライ人になったみたい」
「なんか嬉しいですねこういうのアハハ」
「自転車大事に乗らなきゃね」
「そうですよね
ところでヒョン
さっき貰ったの何の写真だったんですか?」
「ふふん♪
教えない」
「なんでですか?
見せてくださいよぉ」
「やーだ」
「ずるいですよぉ~~
気になるじゃないですかぁ」
「どうしても見たい?」
「はいっ
すっごく見たいです」
ユノは僕にさっきの写真を手渡すと
にこにこと笑って自転車をひいて先に歩き出した
僕は後ろからちょこちょこと着いていきながら
その写真を見てみると
それは昨夜のパーティーでのラストシーン
ヴァンパイアとハナヨメに仮装した僕達のキスの場面
「なっ///////」
僕は顔を真っ赤にさせながら写真を一瞬裏にして
大きく息を吸い込んでもう一度表にしてじっくり見直す
「/////////」
すると前を歩いていたユノが立ち止まって
「チャンミナそれ俺のだから
見たら返してね」
「あの....これっていつ撮ったんでしょう///」
「これ1枚だけじゃないんじゃない?
結構他のゲストとかも撮ってたと思うけど」
「え////
そんな、僕達2人ってバレないですか?
写真まずいんじゃないですか?
SNSとかにもしまかれたりとかしたら...」
「だいじいょうぶだいじょーぶ
仮装してんだから似てる人って言われるだけだって
それにさ」
「それに?」
「これキスしてんだぜ
まさか俺たちだとは思わないだろ?」
「あ....うん......
まぁ、そっか......そうですよね
キスはありえないですもんね」
そしてそのありえないキスを
この時も昨夜も実はしている僕達
会話と行動が噛み合ってない気もしたが
とりあえずは納得してユノに写真を返す
「ヒョン
この写真どうするの?」
「ああこれ?
決まってんだろ
まずは携帯の待ち受けにして
これ1枚じゃ汚したら大変だから数枚コピーしといて
後はそうだな
肌身離さず写真は財布の中にでも入れておくかな」
「ヒョンっ//////」
「なぁに?
チャンミナもほしい?」
「いえ....その...べつに」
「ほしいんだろ?」
「あ.......いえ.....
........はい.....
出来れば僕にも...その...1枚...ください..///
...記念に...」
「オッケー♪
よし!じゃ出発するか」
僕とユノは自転車に跨り
少しスピードを上げて細い坂道を登っていった
つづく
(この物語はフィクションです)
愛のポチポチいつもありがとうございます!
元気を貰っています(*´ー`*)
更新の励みになってます感謝感激




少し日にちが空いてしまいましたが
2人ようやくホテルを出発しました^^;;
んで、キスしてるとかありえないからバレないとか
そんな写真あったらすぐに2人ってバレますからっ(爆)
女装ももう公開ししちゃったからこれまたバレますねw
さて本日はミミイベですねー
明日になったら色々またUPされるかな?
楽しみですね^^
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