以前のあらすじは
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「チャンミンの悩み」
後日談。
マネ君が薬局に行っている時、ヒョンから連絡があったらしい。
オレがチャンミンを迎えに行くから、車をかしてほしいと。
そんなことしたらチャンミンさんに怒られますって言ったのに
ヒョンは、オレから言っておくからダイジョブダイジョブって、半ば無理矢理だったそうだ。
迎えに来てもらい、マネ君を自宅まで送り、その後すぐに事務所にやってきたらしい。
彼は僕達の仲の良さを「純粋」に受けとめて理解しているようだ。
(それがなにか…?)
ヒョンは…僕を抱きしめたまま言った。
「チャンミン…チャンミンはオレの家だと思う。」
少し早口で言った。
「え?何?…」
「だって、オレがいつも素直でいられるから。」
ヒョン?
「ヒョン、どうしたの?」
「どうもしないよ、チャンミンに伝えたくてさ」
「…それって…」言いかけた僕をさえぎるように言った。
「チャンミン…いてくれてありがとな」
(ヒョン、それは僕のセリフだよ)
そして、僕の背中をやさしくトントンした。
胸がキュンとして鼻の奥がツンとした。
やばい、泣きそうだった。
「はいはい。さぁ、帰りますよ」
と、気づかれたくなくて…
少しゆるんだヒョンの腕をくぐり抜けてみた。
正面から両肩をぽんぽんとたたいて笑って見せた。
少しウルウルしていたはずだから、気づかれたかも。。。
でも、ヒョンは僕をまっすぐに真顔で見つめた。
あの時と同じように…。
トートバッグとつぶしたペットボトルを持って事務所の灯りを消して出た。
静かな廊下をふたり並んで歩いた。
こんなのも久しぶりだった。
いつもにぎやかな事務所も週末でひっそりしていた。
この時間は警備員さんしかいない。
駐車場に向かう通路でヒョンが言った。
「よし!今日はオレがご飯作るよ!チャンミン、何が食べたい?」
大きく背伸びをしながら僕を横目で見た。
「そうですねぇ、リクエストするなら…」
「わぁ、なになに?」
うれしそうに僕を覗き込んだ。
「ゴツゴツした野菜が入った冷麺だけは勘弁してください。」
「…チャンミン!ひどいよぅ…」
わざとうなだれて見せたヒョンがおかしくて愛おしい。
「ほらほらっ、行きますよ!」
僕は早足で逃げるように歩いた(笑)
「もう、チャンミ~ン、待ってよ~」
追いついてきたヒョンが肩を組んできた。
ちょっと照れくさかったから下を向いてふふっと笑った。。
でも、また…こんな日常が戻ったね。。。
シートベルトをかけるヒョンの綺麗な横顔を見ながら言った。
「ヒョン。やっぱり…今日はもう遅いから、何か買って帰りましょ。」
カチッとシートベルトをとめると同時にこっちを向いた。
「あ!チャンミン!そうだ!スルメ買って飲もう!」
子供みたいな笑顔で言う。
「え~?!スルメ~?!冷蔵庫がまた臭くなってもいいんですかぁ。お。」
「いいじゃん。ガーナで食べられなくてさぁ、めっちゃ我慢したんだから!」
「ったく。ガーナにスルメがあるわけないでしょ。」
「チャンミンも好きなくせに~。そうしよ、そうしよ!」
「一緒にしないでほしいですねぇ。じゃ、強力な冷蔵庫の消臭剤も買って帰ります。」
アハハハ~ッ
聞きなれたヒョンの笑い声。
なんでもないことがシアワセだと感じる時があるんだって、誰かが言ってた。
今、その意味がわかった気がした。
ヒョン。
これからもずっとシアワセを一緒に感じたい。
それが贅沢な暮らしとかじゃなく…
僕達がシアワセだと感じる日常やステージ。
一緒にいる時間を大切にして生きていきたい。。。
途中のコンビ二でスルメとゴールデンとおにぎり、カップ麺を買った。
ヒョンが納豆を買いたいと言ったけど、冷蔵庫にまだあるんでしょ?と
見抜いたので、あっさりあきらめたヒョン(笑)
久しぶりのヒョンの部屋。
帰国前にお母さんが掃除に来てくれたらしくて、すっかり片付いていた。
正直、つまんない。
少しは片付けましょうよ~、仕方ないですね。僕がやります。
いつもならそう言って僕がやってしまうはずだった。やりたかった。
でも、そんなこと気にも留めていないだろうな、この人は。
「チャンミン、悪い。お風呂入れてくれよ。オレ、スーツケースの洗濯物出すから。」
「はいはい。」ソファーにバッグを置いた。
お風呂場に行って給湯スイッチを入れる。
ドアを閉めてふと洗面所の鏡を見た。
ハァ…。今日…言うべきだろうか。
ずっと続いている例の感覚。。。
どのタイミングで言うべきだろうか。
なんてきりだせばいい?迷っていた。
困惑した自分の顔をボーっと見ていた…。
「なんだよ、チャンミン。自分に見とれてるのか?」
カゴに洗濯物を突っ込むヒョンがいた。
ハッ!ヤバい。
「チャンミンは誰が見てもカッコイイよ。オレが一番知ってる。」
「そ、そんなんじゃないって!」
「照れるなよ。チャンミン、先に入るか?それとも一緒に入る?ニャハハ。」
「やめてくださいよぅ、気持ち悪いなぁ。」
「冗談だって。じゃ、オレ入るわ。」
「どうぞどうぞ。」
そう言う僕のそばで、すぐにバッサバッサと脱ぎ始めた。
あ~もぅ、この人はっ!!!(苦笑)
いつものように、脱衣カゴの一番上のカゴにバスタオルとフェイスタオルを準備した。
部屋に戻って、さっき買った物を袋から取り出しながら手がとまる。
ふぅ…どうしよう、ありのまま話す?…見せる?
でも…ヒョン、疲れてるし飲んだらきっと寝ちゃうかもしれない。
なんだか、僕も今日はアタフタしたから疲れた。。
とりあえず、様子をみてからにしてもいいか。。。
悩んではいるものの、あまり考えたくなかった。
ソファーの前のローテーブル。
色違いのチェック柄のランチョンマットを敷いて、チョッカラを置く。
あ、僕達は韓国人です。(笑)
スルメとゴールデン、冷蔵庫にあったキムチをタッパのまま並べた。
きっと、ヒョンのお母さんが置いていったんだろう。
そういえば冷蔵庫にスルメと納豆がたくさん入っていたけど、意外と臭わなかったな。
賞味期限、大丈夫なんだろうか?怖いけどあとで見てみよう。。。
そして、今後のために強力消臭剤はしっかり入れておいた。2個。(笑)
「はぁ~っ、いいお湯だった!チャンミンも入れよ。」
バスローブ姿のヒョンがソファーにもたれて座った。
濡れた髪をタオルで拭く姿が男っぽくて憧れる。
でも…バスローブのヒモの結び方、右の方がかなり長いんですけど(笑)
「じゃ、入ってくるんで、先に飲んでて。」
「なに言ってんだよ、チャンミンが出るまで待ってるって。」
ヒョンはほんとに優しい。
長い間、一緒に過ごしてきたけどちっとも変わらない。
もちろん、僕にだけじゃない。
周りの人達を気遣うスタンスは全くブレない。
それってすごいことだと思う。
見習ってはいるけど僕には真似できそうにない。
そんなヒョンを心からリスペクトしている。
でも…
「じゃぁ、出てくるまで絶対に手を付けないでくださいよ!」
と、睨んでみる。リスペクトしてるのに僕は意地悪だったりする。
「わかった。わかったから、早く入ってこいって~」
笑いながらそう言ってテレビをつけた。
脱衣所でデニムのジッパーに手をかけてとめた。
やっぱり今日も感じていた。
この辺の違和感なんだよ、ヒョン。。。
そう簡単に言えればラクなのに…。
やっぱり、前よりも感覚が強くなってるような気がする。
ほんとに何なんだッ。
今日もそこに目をやらずに、シャワーを浴びた。
ボディソープの泡をたくさん作ってそこを洗った。
長くバスタブに浸かると視界に入りそうだったから、すぐに出た。
濡れた身体をサッと拭き、ずっと前に泊まった時、隠してた下着を探す。
あった、あった(笑)
ホッ。ヒョンが間違えて穿かないように別にしておいて正解だった(笑)
でも、パジャマがなかったから、ヒョンのバスローブを借りることにした。
「あぁ~気持ちよかった!ヒョン、お待たせ。」
いつものように振舞った。
「チャンミン、早かったな。ちゃんと浸かった?」
「僕が長湯じゃないこと知ってるでしょ。」
「そっか。ハハ。さ、飲もう!」
冷えたビアグラスにゴールデン。ヒョンが注いでくれた。
あ…。このグラス、ヒョンが冷やしてくれてたの?
そうだと思うとなんだか妙に照れくさくて嬉しかった。
ソファーから降りて若干しみの付いたラグマットに並んで座った。
「あ、これ。オンマのキムチなんだ。めっちゃうまいから食べてみてよ。」
うれしそうで得意げな笑顔。
「ほんと美味しそうですねぇ~いっただきま~す!」
「おーい、チャンミン?その前に乾杯は?」
「あ、そっか!ハハ!」
「せーのー!カンパーイ!!」
ふたつのビアグラスが触れ合ってカランと鳴った。
「プハ~ッ!やっぱお風呂あがりのゴールデンは最高だな!」
「あ~あ。オヤジ入ってるなぁ。ファンの人が見たらなんて言いますかねぇ。」
「う~ん。でもいいんだ。オレ自然体でいたいから。」
「お、なかなか言いますねぇ。」
「そんなオレのこと、わかってくれてると思うし、うん。」
「でも、口のまわりに泡、めっちゃ付いてますけど?」
「あ…自然体すぎた?アハハハ~ッ!」
「クックックッ…。」
…やっぱり、今日はやめておこう。
こんなに楽しそうなヒョンを暗くさせたくなかった。
今夜は飲もう!ヒョンが酔って眠るまで見守るよ、僕。。。
明日はふたり揃ってファッション雑誌のグラビア撮影だった。
午後からだったし、少しくらい飲みすぎても大丈夫。
サプリも薬もあるからね。
それにしても、ヒョン!スルメ…食べすぎっ!!!
つづく。。。
byゆっち
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