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2015/07/21 Tue  21:09
7月の空ノ下 最終話「隣」


7月21日 快晴



夏の空はすっきりと晴れ渡り
どこまでも真っ青に広がって
穏やかな風と共に途切れた雲はゆっくりと流れた



僕は昼過ぎに起きて身支度を始める

ユノが行ったあと
マンションの後片づけをするためだ




部屋に到着して鍵を開けて中に入ると
思っていたよりも整理整頓がきちんとされていた







・・・ちゃんと片付けていったんだ

ぎりぎりまで忙しかったのに・・





・・・ユノの匂いがする・・・






フーッとため息を吐いてソファーに座ると
テーブルの上に置いてある蓋の開いた段ボールが目に入った


気になって中を覗いてみると








・・・あ、これ






箱の中には
僕とユノが共同生活していた頃に使っていた懐かしい備品が
ひとつひとつ丁寧に詰められていた








・・・・これ
まだとってあったんだ・・






思えばこの見慣れた大きなソファーも
僕らがデビュー当時から宿舎で使っていたもので
ユノは引っ越す時には迷わずこれを最初に持っていった



当時は五人で座るには狭くて余裕が無いと思っていた横長のソファー


二人になってからは広すぎて
僕達は必ずと言っていいほどいつも寄り添いながらそこに座っていた


でも二人で過ごす年月が経過して
僕もユノも目の前の目標を達していくたびに
いつの間にか大きく感じたソファーは
少しも広いと思わなくなった



ユノが新しいソファーに変えないのは
きっと親しみのあるこの座り心地を忘れたくないからなのだろう




箱を閉じて移動をしようとすると
ハラリと何かが床に落ちる




それは僕がいつも座っていた位置の手刷りの端に置いてあった様で
手紙にしては小さくてメモにしては大きめの
四方を揃えて丁寧に折り畳まれている薄紫色をした厚手の紙だった





「……なんだろ?これ」







折り目を解いて中を見てみると
そこにはユノの見慣れた文字で
英文で短くこう書いてあった









************************

Dear chandra


You're the best thing that ever happened to me.


I'll stand by you all the time.



From Yunho


*************************














「チャンドラへ


お前に出会えたことが俺の人生で一番幸せなことだ



俺はいつだってお前の傍に居る。



ユンホより」














ユノは自分が行った後
僕が今日ここに片付けに来ることを分かっていて
メッセージを書き残していった







ユノ・・・・








今日の見送りには行かないと
暗黙の了解で決めていた



もし、僕が見送りに行ってしまえば
待機するファンやあらゆる記者達
その場はパニック状態になる可能性は大きいだろう






僕は立ち上がって思わず部屋を飛び出して
ユノの元に走っていきそうな今の自分の気持ちを必死に抑えた





そしてもう一度ソファーに腰を掛け直して
スーッと大きく息を吸って深呼吸をすると
首を上に向けてゆっくりと目を閉じた







ユノ


見えるよ





僕にはこうするとユノが見えるんだ






7月の澄みきった青い空の下

陽だまりの中で颯爽とするユノの姿が

僕の目にははっきりと浮かんだ







「また会おう」



そう言ったユノの低い声が
すぐそこで聞こえてくるようだった





僕はユノの残していったメッセージを
元通りに丁寧に折り込んで財布の中に仕舞った







「さて・・・
そろそろ仕事行かなくちゃ」






戸締まりを確認して玄関を出ようとすると
僅かに外から風が入り
フッとまたユノの匂いがした



僕は立ち止まって振り返ると
部屋の中をゆっくり一周見回してから
ドアを静かに閉めて鍵をする





そしてロケ地に車を走らせて
何事もなかったように撮影に熱中した




そう、今まで通りに

今までみたいに普通にやってきた事のように












世の中には様々な巡り合わせがある



ドラマチックな出逢いだったり
ありふれたごく自然な出逢いだったり

思いもよらない様な出逢いだとしても
どれも全てが
人生の中での限られた貴重な出逢いであり
それは偶然でもなく奇跡的に
実はずっと遠い昔から
定められているものかもしれなくて





僕はこう思う



出逢うべきして出逢う相手は
一生のうちにそう何人も現れない



運が良くようやく巡り会えたとしても
その奇跡に気付く事がなければ
それは偶然の出逢いで終わってしまい
あるいは通りすぎてしまうこともあるだろう



いくつかの時を重ねて過ぎる日々の中
気が付けば互いの人生の一部となり
無くてはならない存在になる


共にそう感じる事が出来た時に
初めてその出逢いは運命と呼べるものになるのかもしれないと




改めて今
ユノとこうして出逢えた事に
僕は感謝をする



僕の隣にはいつもユノがいた


ユノの隣には僕がいる



そして
これからもそれはずっと変わらない













ーーーー完-----





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最後まで見て頂いてありがとうございますm(__)m


リアルに結びつけたお話しになりましたが
今日の日を静かにユノを送り出すのに
自分なりにに何が出来るのだろうとずっと考えていました。

そして見送る側のチャンミンの事もずっと考えていました。

結果、こういう形になりましたが

ユノの気持ちはユノにしか分からないし
チャンミンの気持ちはチャンミンにしか分かりません

これはもうひとつの
妄想小説の中でのお話しですm(__)m




ただ、妄想ではなく現実に分かることは
新たなる始まりの一歩のカウントダウンが
今日からスタートされたと言うことです。





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ユノ


どうか元気で
心も身体も健康に帰って来てください




ユノが守ろうとしている大切なその場所で
貴方を思いながら語りながら
帰ってくるその日を必ず待っています。





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沢山のプレジェント本当にありがとう(^ー^)

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テーマ : 東方神起   ジャンル : アイドル・芸能

2015/07/21 Tue  00:38
7月の空ノ下 9話「前進」




ユノの髪をドライヤーで乾かして
丁寧にブラッシングをする



にやにやしながら嬉しそうに僕を見るユノが鏡越しに映るけど
僕は気づかないふりをして目線を合わせず
ユノのヘアセットだけにせっせと集中をする



するとユノはちょっとおどけた口調で





「メイクさん
可愛いね♡
彼氏とかいるの? 」






聞いてないふりをする僕








「ねぇねぇ
スタイル抜群の可愛いメイクさん♡
どんな男の人が好み?」







「・・あの、
それってセクハラじゃないですか?」





「違うよ~
別にスリーサイズ聞いてるわけじゃないし」





「じゃ逆に聞きます。
どんな女性が好みですか?」





「うーん、そうだなぁ。
俺の作った手料理を美味しいって言ってくれて
膝枕で眠らせてくれて
髪を丁寧に洗ってくれて
ちょっと辛口で俺の事をセクハラ呼ばわりする
ナイスバディな可愛い目の前にいる人かな」






「ヒョン///////」






「アハハ♡ 」






「もうっ、、
何言ってるんだか・・
はい!
髪、乾きましたよ」






「ありがとう
なあ、チャンミナ」




「はい?」







「俺……
お前の時、
髪洗ってあげられなくてごめんな」






「大丈夫です
帰ってきたら念入りに洗ってもらいますから」





「そっか、、そうだな
チャンミナが帰ってきたその日に必ずなっ
じゃ約束」






小指と小指を絡ませると
その指にユノはキスをしてにっこりと笑った




二人で過ごす時間はゆっくりと流れていき
時計の針が24時をとっくに超えた頃
ユノが低い声で小さくポツリと呟く






「そろそろ行くかな・・
酔いも完全に冷めたし」





「はい・・
遅くなっちゃいましたね
ヒョンは明日忙しいのに…
あ、もう今日か……」





「俺の事より
チャンミナは今日も撮影なんだから
ちゃんとこの後寝ておけよ
じゃないと暑いんだからバテるぞ」






「撮影は今日は夜からだけど…
はい、そうします。」






ユノは少し気だるそうに身支度をして帰る用意をする


僕は駐車場までユノを見送りに行った








「じゃあなチャンミナ
俺、行くよ」







「ヒョン
これ、持っていって」






それはユノのために用意していた少し厚手の手袋
今晩渡すために取り揃えておいた物だった







「風邪
引かないでください」






ユノはそっと手袋を受け取ると
僕のおでこに自分の唇をぎゅっと押し当てて
そのままの体制でこう言った








「ありがとうチャンミナ
俺も頑張るからお前も頑張れ」






「はい」








「じゃ
ちょっと行ってくる」







短い言葉を交わした後

車に乗り込んで窓を全開にすると
力強く腕を伸ばして僕にサムズアップを向けるユノ


僕もユノに向かって力強くサムズアップを返すと
二人で笑顔でしばらくの間の別れの挨拶をした






そして僕達は振り返る事なく
互いの方向に迷わず真っ直ぐ進んでいった














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次回が最終話となります。

2015/07/20 Mon  18:35
7月の空ノ下 8話「髪を洗う日」



底に近づいたワインを
互いのグラスに一滴残らず注ぎ足す



僕達の会話は相変わらず途切れる事なく続いた







「ヒョンは
あの頃と少しも変わってないですね」





「少しも?
見た目変わったろ?」





「うーん、、
確かに10代と30代では見た目も変わるし
なんていうか、老けるのも自然なことだし・・」





「老けた?
俺、老けた?そんなに?」




「いえ、ヒョンの事とかじゃなくて
自然の法則には逆らえない訳だから」





「自然の法則かぁ・・・
体力的なこともそれは言えるしな・ハァ・・」






「ヒョンは素敵な歳のとりかたしてますよぉ
老けたっていう表現は似合わないし
ますます男に磨きがかかったって感じで
かっこいいです」




「そっか?やっぱり?
実は自分でもちょっとそう思ってるアハッ♡ 」








シュンとしたかと思うとすぐに機嫌を取り戻す

ほろ酔いのユノは感情の変化が激しくて
子供みたいにスネてみせたかと思えば
いきなりはしゃいで笑い出す

かと思えばボーッとして
何処を見ているのか焦点が合わなかったりと
表情がコロコロと変わって見ていて本当に飽きない




年下の僕が言うのも何だけど
これだけ"可愛い"という言葉が似合うアラサーは
他にはいないんじゃないかと思う








あ・・・

またボーッとして焦点が合っていない・・






「ヒョン?」




僕が肩をトントンと軽く叩くと
目を潤ませて頬をピンクに染めたユノが
首をくるりと回してこっちを向く








「・・・どっか遠く行ってた
俺、」





「はい、すごーく今遠くに行ってましたよ
眠い?
ヒョン疲れてるでしょ
まだ時間大丈夫だったら少し寝たら?」





「時間はまだ大丈夫だけど
せっかくチャンミナと一緒にいるのに寝たら勿体ないじゃん
俺、ぜーんぜん眠くなんかないから!」





そう言ってから間も無く会話が途切れた一瞬
ユノは僕の膝の上で即眠りについた











……寝ちゃった

さっきから眠かったくせに
無理しちゃって…







天使の様なユノの寝顔をしばらくの間
僕は見守る



見慣れているはずのユノの寝顔
改めて見ると本当に整った綺麗な顔をしている

指で髪を梳くようにしてこめかみを柔かくそっと撫でると
眉毛をピクッとさせては
眠りながらも幸せそうに口角を少しだけ上げた


僕は前に屈んでそっとユノの胸に耳をあてる




ドクンドクン





寝息と共に穏やかに鼓動する心臓の音
目を閉じて耳を澄まし聴き入りながら
いつの間にか僕も深い眠りに落ちていった







どれくらい時間が経ったのだろう



薄目を開けて前を見ると
ユノの大きな背中が目の前にあった






「ヒョン
起きてたの?」





「うん。
ちょっと寝たら酔いも冷めたみたい
チャンミンおはよう」




「あ、いつの間にか僕も寝ちゃって・・」






テーブルの上に目をやると
食事の後の皿やグラスは全てすっきり片付けられていて
鉢植えの側にあるアロマキャンドルの灯だけがゆらゆらと揺れていた





「ヒョン・・
片付けてくれたの?」




「料理は作って食べてもらって
その後の片付けも重要だから。
これで俺の今日の料理は完結だ」




「ごめんなさい。。
何から何までヒョンにやらせてしまって
僕、後片づけくらいしなきゃいけないのに・・」




「気にすんなって!
俺はいつもチャンミンにこうしてもらってたんだから
たまにはいいだろ?こんな日があってもさ」







「ヒョン
僕、お願いがあるんだけど・・」




「なに?
いいよ何でも言ってごらん」











「髪を洗わせてください」







明日には切られてしまうユノの髪

その前に僕の手で綺麗にしてあげたかった






ユノは口をきゅっと結んで
何も言わずに着ているTシャツをその場に脱ぎ捨てると
浴室に向かって歩いていった



シャンプーを手に取り
僕はユノの髪を丁寧に根元から先まで洗い上げていく

ユノは目を閉じて黙ったまま
ただ背中を丸めてじっとしていたけど

全て洗い流し終えた後
シャワーのお湯をザーッと勢いよく出しては
両手でバシャバシャッと顔を洗うと
とても優しい口調で





「ありがとうチャンミナ
すごく気持ち良かった」





たった一言そう言った。













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2015/07/19 Sun  21:40
7月の空ノ下 7話「3年後の開花」




ボトルのワインは半分以上減って
僕達はほろ酔い気味にソファーに足を投げ出し
互いに凭れ掛かって会話をする






「それにしてもこのワイン
時間が経てば経つほど美味しくなりますね」






「うん。
さっきよりコクが出てきたっていうか
葡萄が開いた感じかな」





「あー
果実味は確かにアロマが豊かになりましたね。
12年熟成くらいだと渋味はそれほどでもないんですね」





グラスをクルクルと回しながら口元に近づけて
広がったその香りを鼻でスーっと吸い込む

酸味の落ち着いたテイストは
まろやかさが加わり
より深くクオリティの高い味わいに変化した







「なぁ、チャンミナ
男は30代からだと思わない?」







「ですよね。
20代まではまだまだ基礎作りの段階だと思います。」






「そうだな
今までも勿論
ひとつ足りとも無駄なことは何もなかったけど
これからがより重要っていうか
30代だからこそ魅せられることってあるよな」







「はい
30代は今まで経験して積み上げてきた基礎を土台にして
全部じゃなくてもある程度は
自分なりにコントロールもしながら
今まで以上の目標や仕事の幅も広がるんじゃないかなって。
それに、更に安定してくるのは40代からなんだと思うんです。
その頃、世の中がどんな風に変化してるのか分からないけど
平和でさえあってくれたら
僕達の仕事は形が少しずつ変わっていったとしても
ファンでいてくれる人達にずっと夢を与えることが出来ると
僕は信じてます。」









僕が熱く語り出すと
ユノは黙って何度もうんうんと頷いた




昔から酒を飲むと
仕事の事やそれに関する将来の夢だったり
熱く語り出すのはユノの方で
僕はだいたい聞き役が多かった


でも今日のユノの言葉は少ない


少ないけど
いつも以上に幸せそうで
僕の語りを聞いては本当に嬉しそうにして
穏やかに微笑んでは僕の目からずっと視線を離さなかった








「あ、、
なんか僕ばっかりしゃべっちゃって、、」













「チャンミナは変わったよな」





「え?
僕?変わりました?」







「うん、
逞しくなった。
本当にかっこいい男になったと思う
頼れる男、真の強さを持った男
隣にいて惚れ惚れするよ」






「そんな///
言い過ぎですよ」





「いや、
まだまだ言い足りないぐらいだ」







ユノは体制を変えると少し改まったように





「俺…
お前がいたからここまで来れた。
本当に…本当に色んなことがあったけど
どんな時も隣で黙っていてくれて…
お前の存在が本当にいつも心強かった…… 」





「……ヒョン
それは僕も同じですよ
ヒョンがいたから頑張ってこれたし
今までもこれからもヒョンが隣にいると思うから心強いし
感謝の言葉は口では言い切れません」








「ありがとうチャンミナ」




「僕こそ
いつもそばにいてくれてありがとうヒョン」







僕達はそれ以上は言葉にはしなかった




しばらく見詰め合って心を充分確認し合うと
深くソファーに沈みながら二人で手を固く握り合い
互いに身体を寄せてはまた凭れ掛かった









「そういえば・・
プルメリアの香りなくなっちゃいましたね
アロマキャンドル消えちゃったのかな」





「あ、そろそろ消えちゃった頃かも…
新しいのに変えるか。
しかし焦げの臭いもすっかり消えたなアハハ」





「ですね。
新しいのに変えましょ♪」





ユノはソファーから重たそうに立ち上がると
のそのそとリュックのポケットの中からライターを取り出して
鉢植えの後ろにあるアロマキャンドルに火をつけた









「あの、、
もう一度聞いていいですか?
何故、わざわざ花のない幹だけの鉢植えに?」







「これね
開花までは約3年かかるんだって。」





「・・あ、なんかそれ聞いたことあります。
プルメリアは約3年で80%程度の確率で開花するらしいですよね。」





「うん
3年後にここに花が咲くのをチャンミナと一緒に見たいなと思ってさ」







「・・・3年後」





「開花しない場合もあるみたいなんだけどね」








それはまるで
未来の僕達の活動を指している様だった














「咲きますよ
必ず3年後には」




僕がそうきっぱり答えると
ユノはにっこり微笑んで大きくコクンと頷いた







花言葉は
親愛、陽だまり









僕達は花のない鉢植えをテーブルの真ん中に置いて
もう一度乾杯をした














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リアルなユノとチャンミンは
二人で過ごす時間があった様ですね
本当に良かった(;つД`)

2015/07/19 Sun  00:02
7月の空ノ下 6話「熟成させた年月」





「あっ・・
そうだ、、ワイン忘れてた
乾杯しなくちゃっ」





「お~
やっと乾杯出来るか
ここまでくるのに長かったなアハハ」





「はいっ
じゃ、乾杯しましょ!
ヒョンも座って」





腰に巻いていたエプロンの紐を緩めて大きくフ~~と息を吐き
ユノはドカッと僕の隣に深く座った


僕は2003年物のヴィンテージワインのコルクを抜いて
ヒョンのグラスと自分のグラスにそっと注ぐ






「じゃ、乾杯」


「おう、乾杯」





グラスを軽く近づけて
拳と拳をタッチさせて僕達はいつもの乾杯をした






12年熟成させたワインは口に入れた瞬間

最初は複雑な味が入り交ざって若干渋味も感じられたけど
舌でゆっくり転がせて含んでみると
喉越しを通ると共に濃厚な重みのあるコクの深さに変化した


単純でなはいその味わいは
12年という月日の流れの重さや奥深さを物語っている様だった





ワインを口に含んでは目を閉じて
その余韻をじっくりと噛み締めるユノ

そして小さく呟いた








「早かったよな」






ユノがそう一言切り出すと
2003年のワインと共に僕達は当時の事を少し振り返った







「はい
早かったけど長かったです。
あっという間ではなかったですね
色んなことがあったし…」





「うん
本当に色んなことがあった。
俺さ……
練習生になってこっちに一人で来た頃
あの時は何も怖いものとか無くてさ
チャンミナは?」






「僕は怖いことだらけでした。」





「そっか
まぁ、そうだよな
普通の生活とは一変するわけだし
俺からするとスカウトってあの時は羨ましい限りだったけど
それゆえ心の負担はあったんだよな」






「 最初は……
本当に大変でした
でも、この世界に入って色々経験していくうちに
本当に怖い事っていうのが段々と見えてきて
僕のあの時の怖さなんて比較にはならなかったんだなって」






「あ、それ
俺も分かる気がする」






「はい
こういう仕事をしていると特に普通の感覚を見失いがちで
もし、その状況に慣れきってしまったら
周りも何も見えなくなってしまうんじゃないかって…
でも、その境界線が時々
見えなくなったりする時があるじゃないですか」





「慣れてしまう怖さか…
生きてる限りはずっと付きまとうんだろうな」







しばらく会話が止まるとグラスを傾けて
ユノが思い出した様にクスクスと小さく笑う







「なんですか??」





「ん?
いや、初めてチャンミナと出会ったときの事
思い出しちゃった」






「グループ結成て事務所に集められた時?」





「そう、
チャンミナ凄く緊張してて俺に挨拶するのに
真っ直ぐ立ってお辞儀したままなかなか顔を上げなかったよね」




「そうでしたっけ?」





「そうだよ!
こんな風に」



椅子から立ち上がると直立不動になったユノは
深く頭を下げて当時の僕のマネをする






「ちょっと、、
それはオーバーじゃないですか??
僕そんなにカチカチでした?」




「いや、もっとかな?
はっきり覚えてるよ俺。
顔を上げても下ばかり向いてて俺の目を見ようとしなくてさ
最初はこいつやる気がないのかなとか思ったけど」





「あ……
僕、あの時かなり緊張してて
僕だけ何だかド素人な気がしてたし
自信もなかったのは確かで…
でも、決して遊び半分な気持ちや
やる気がないとかじゃなかったです」





「知ってる。
俺がちょっときつい事言ったらチャンミナ物凄い目で睨み返したろ?
その時、こいつは本気だってすぐに分かった。
だからその夜すぐにチャンミナだけを呼び出したろ俺」








・・あ、バックダンサー時代のビデオ

数時間に渡って見させられたんだっけ










「こいつには絶対に見せておかなくちゃって思ってね」




「僕、あの時、ヒョンに呼び出されて
暴力奮われるのかと思いました」





「アハハ
そんな訳ないだろ
俺は昔から平和主義者なの!
でも、殴られるかもしれないって思ってたのに来たんだろ
やっぱり根性あるよチャンミナ」





「内心はドキドキでしたよぉ
何されるのかと思ってて・・」





「そう?
じゃ、襲っちゃえば良かったかなぁ
惜しかったなぁ~」





「な////
なに言ってるんですか!」






「俺はチャンミナの第一印象は
礼儀正しくて女の子みたいに可愛い子だなって思ったよ
睫毛が長くて真っ黒い瞳がいつもきらきらしててさ
メイクしてるみたいに唇なんかピンクで
男にしとくのは勿体ないなーとか。」







「嬉しくありません/////」









「まぁ、今も相変わらず可愛いけどね♡ 」








・・・・もう//////







そんな事を言ったかと思えば
僕の肩に腕をまわしてぐっと引き寄せると
ユノは甘えたような目で僕を見て
自分の頬を僕の耳のあたりに密着させる



ほんのり赤らめたユノの頬は温かくて
話すたびに微かに息がかかり僕の耳朶はあっという間に熱を持った







ユノは酔うと超ご機嫌で
いつも以上にやたらとスキンシップが多くなる

だから僕は時々心配になって
外出先での飲酒と聞くといつも気が気でない






「ヒョン・・・」





「なぁにチャンミナ♡ 」





「他の人にこんなことしちゃだめだよ」





「こんなことって?」





「……だから、
こんな風に身体を密着させたりとか……」




「普通でしょ?」





「ヒョンにとっては普通の事かもしれないけど
一般的には普通ではないですよぉ
好意があると勘違いされたらどうするんですか?」





「そう?そんな風に思わないんじゃない?」






「ヒョンにその気がなくても人によって取り方は様々だから
そういうことも全く無いとは言えないって事です」






「そうかなぁ・・」







ユノは少し唇を尖らせて頬っぺたをプクッと膨らませると
横目で僕を睨むようにして





「あのね、
普通じゃないっていうのはさ」




そう言い出すと
僕の肩にまわしていた腕を更に強く引き寄せては
自分の唇を僕の唇に柔らかく重ねた

そして舌先で僕の下唇を軽くペロッと舐めると
ニヤッと笑って





「普通じゃないってのはこういうのだろ?」










・・・・・え




一瞬何が起こったのか理解出来なかった僕は
唖然としてしばらくそのまま固まった



ユノは手のひらを僕の目の前で上下に振ると





「チャンミナ??
生きてる?」







「・・・あ」





「チャンミナの唇あさりの味がした♪
そのまま食べたいくらいに美味しいし…
あはっ♡ 」






「もうっ/////
だからーー、、」






「分かってる分かってる
チャンミナの言いたいことよーく分かってるからね♡」











・・・・ほんとに


ユノは分かってるのかな・・・


そのいたずらっぽい笑顔さえ
こんなに人の心をときめかせることを・・・









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プロフィール

YUNA

Author:YUNA
ご訪問ありがとうございます☆
東方神起を愛してやまないYUNAと申します
チャンミンのピュアな魅力にどっぷりハマってます♥
ユノが大好きです敬愛しています^^
2人の温かい空気感が大好き
東方神起には夢と希望と幸せを貰っています
他には赤ワインが大好物!!
趣味は?と聞かれると
東方神起と赤ワインと答えてしまいます。どうぞよろしくお願いします(*_ _)ペコリ
コメントはお気軽に♪
トン好き酒好き大歓迎!

♥I LOVE Changmin♥

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