僕の部屋にユノが来るのは本当に久しぶりだった
互いに合鍵は持ち合わせていても
僕がユノのマンションに行くことの方が圧倒的に多かったから。
ユノの部屋のキッチンの間取りは僕は全て認識済みだけど
ユノが僕の部屋のキッチンに立っているのはある意味珍しくて
今更ながらなんだか不思議な感じがした
ユノは鼻歌混じりに冷蔵庫から食材を取り出して並べては
ひとつひとつ指をさしながら手順を確認している様だった
一通り済んた後
にんにくを手に取り軽く宙に投げてキャッチしては
包丁の平らな部分でそれを押し潰す
ちょっと心配になって
椅子に座ったまま首を伸ばして覗いて見てみると
ひたひたの水が入ったボールの中には
びっしりとあさりの砂抜きがされていた
パセリを微塵切りにする手付きは危なっかしくて
決して手際がいいとは言えないが
ちゃんと形にはなっている
・・・・へぇ。。。
10年以上も一緒にいるけど
私生活でユノがこんなに真剣にキッチンに立つ姿は
今までほとんど見たことがない
この光景がやっぱり不思議でたまらない僕は
今とても貴重なものを見ている気がして
即座にカメラを持ってきてはシャッターを押した
カシャッ
カシャッ
「ん?
何だよ
こんなとこ撮るなよ」
「いいじゃないですかぁ
こんな貴重な光景しっかり残しておかなくちゃ」
「どういう意味だよそれー」
「まぁ、いいから気にしないでくださ~い」
カシャッ
カシャッ
記念に数枚だけシャッターを押すはずが
いつのまにか撮り出すと止まらなくなり
次第にキッチンに接近していっては
嘗め回すようにユノの全身を連写する
「…ったく、チャンミナはー
もう、やめろって~」
そう言いながらもカメラを向けられると
さりげなくモデルさながらなポーズを決めるユノ
このまま写真集にしてもいいくらいの出来だ
僕はますます興奮してシャッターを押し続ける
撮られているのが気持ちいいのか
ユノもカメラ目線でだんだんとエスカレートし始めた
キッチンから移動をすると
壁に凭れ掛かかりクールに決めたかと思えば
今度はソファーに横たわりながらアンニュイな表情をする
誘うような流し目に少し開いた口元
指先で下唇を摘まむ仕草は思わずドキンとして
レンズ越しに僕は何度も生唾を呑んだ
横たわるユノを上から中腰で
無我夢中に撮り続けて体制を変えようとしたその瞬間
ドスン
カメラごと右腕を強く引っ張られ
仰向けになったユノの胸の上に僕の顔面は深く沈まった
………甘い
……ユノの匂いだ……
「こらっ
撮りすぎだぞ」
頭を上げると
うっすらと日焼けをしたユノの白い歯が目の前にある
キッチンに立つユノを撮るつもりが
いつの間にかソファーの上でこんな体制に・・・
「あ、、
僕、つい夢中になっちゃって……」
「俺もチャンミナに撮られてると思ったら興奮しちゃった」
「興奮って//////」
「なぁチャンミナ
他の誰かをそんなに夢中になって撮るなよ」
「ないですよぉ
僕は基本、人はあまり撮らない方だから…」
「じゃ、何撮るの?」
「珍百景」
「じゃ、今俺を撮ったのは?」
「はい
珍しい光景だったから、つい。」
真顔でそう答えると
ユノは上半身を勢いよく起こして
ガバッと僕に身体ごと抱きつく
「なんだと~
こいつめっ
こうしてやる!」
馬乗りになって僕の上から覆い被さると
脇腹の弱いところを
これでもかと擽り責めては離そうとせず
それは尋常じゃないくらいに敏感に反応して
耐えきれず僕は身体を捩り
手足をバタバタさせて子供の様に暴れた
「やめてーー
ヒョンやめてってばーー」
「だめ
許さない」
「お願いーー
許して~~やめてーー」
ソファーの上でじゃれ合いながら
外にまで聴こえてしまうんじゃないかと思うほどに
僕の声は部屋中に響き渡った
そのうちユノは
暴れている僕の手首を両手で力強くしっかり押さえつけると
ニヤッと笑いながら顔を近づけて
「そろそろ許してやるか」
そう言って上から僕を見下ろした
ユノの前髪の先が揺れて
僕の額に柔らかく触れるとそこもやっぱりくすぐったくて
僕はぎゅっと目を閉じてそれを耐えるように下唇を噛んだ
「どうだ
まいったか?」
下唇を噛んだまま真っ赤な顔をして
コクンと頷いてからそっと薄目を開けてユノの顔を見る
そして目が合ったその瞬間
笑っていたはずのユノは急に真面目な表情になっていて
僕の顔を切なそうにじっと見詰めた
ユノには僕にしか見せない顔がある
僕にもユノにしか見せない顔がある
そしてそれは互いに言葉を交わさなくとも
何が言いたいのかはいつもだいたい予想がついた
おそらく僕達は
今同じことを考えているんだと思う
ユノ
今のこの時がいとおしいね
時が止まってしまえとは思わない
だって時が過ぎなければ
僕達の再会の日は訪れないのだから
でも、
互いを感じることの出来るたわいのないこんな時間が
もう少しだけ
あとほんの少しだけ
ゆっくり流れてくれたなら
今の瞬間
僕達はただそれだけを胸に願っていた
愛のポチポチいつもありがとうございます

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ご訪問ありがとうございました(*^_^*)
「RISE AS GOD」発売ですね!
「神として立ち上がる」まさに“東方神起”
タイトルだけでも期待が高まってドキドキします。
ユノ チャンミン
沢山の宝物をどうもありがとう